第12章 陰陽師には近寄るべからず
って、何!? この身体の反応は!?
静まれ、心臓! 優しいリクオ君が友達の事を心配するのは、当然の事!!
私は、心を静める為に、深呼吸をすると、素直な気持ちを言葉にした。
「ありがと……、リクオ君」
それを聞いた夜リクオ君は、微かに口角を上げた。
「で……、誰にやられたんだい?」
「誰……って……」
言ってもいいものかな?
攻撃して来たのは、ゆらちゃんのお兄さんこと、竜二さんと魔魅流さん。
友達のお兄さんが、同じ友達の私を攻撃したと知ったら、優しいリクオ君だ。悩むかもしれない。
だから、私は知らないフリをした。
「多分、陰陽師」
「………舞香」
「はい?」
夜リクオ君の真剣な眼差しに、私は首を傾げた。
「今度からは、オレが送る」
「………、はへ?」
間抜けな言葉が、私の口から飛び出る。
でも、いつもはからかうように笑ってくれる夜リクオ君なのに、真顔で私を見つめ続けている。
あれ? いつもと反応が違う?
もしかして……、責任を感じてる?
そう言えば、原作でもリクオ君は人一倍責任感が強い。
きっと、自分が送れなかったから、私が陰陽師と出会ってしまった、と思ってるんだろう。
ほんと、真面目だー……
私はなんだかそれが可笑しく思えて、安心させるようにリクオ君に笑みを向けた。
「リクオ君が責任感じる事ないって! こうして生きてるから、大丈夫ー! 過ぎた事は忘れて、忘れてー!」
「…………」
夜リクオ君は一瞬大きく目を見開き固まったが、すぐに憮然とした顔になると私の額を指で弾いた。
「っ、たーっ! ちょ、デコピン、地味に痛かったよ! 私、一応、か弱く倒れたんだよ!」
「元気じゃねぇか……。つーか、舞香に対しては責任とかそんなもんじゃねぇ……」
「ん? じゃあ、なんだろ?」
うーむ? とデコピンされた額を片手で撫ぜながら考えていたら、突然庭の方から、ドンッという衝撃音がした。
一瞬、身体が飛び跳ね、思わず上半身を起こす。
「な、何!? 今のお……」
私が言葉を言い終わらないうちに、庭と面した障子が勢いよく開け放たれた。
「舞香!! ここかえ!?」
開け放ったのは、人間の姿に角を生やしたお母さんだった。