第12章 陰陽師には近寄るべからず
首を傾げると、リクオ君はなんだか、まいった、と言う風に右手で頭を抱えた。
そして、顔を上げると自分の手を包み込んでいた氷麗ちゃんの手を外す。
氷麗ちゃんはリクオ君のその行動に大きな目を丸めポカンとしたような表情になった。
そんな氷麗ちゃんに向かってリクオ君は、口を開いた。
「みんなが誤解するから、こーゆー事はダメだ。氷麗」
「……リクオ様?」
グルグル目を更に大きく見開き、今までそう言うことを言わなかったのに何故? というような疑問を込めてリクオ君を見つめる氷麗ちゃん。
と、後ろから島君が大きく肩で息をしながら、追いついて来た。
「ひぃ、ひぃ、及川さん、速いっすよ……」
氷麗ちゃんは、ちらっと島君を見るが、すぐにリクオ君へと視線を戻す。
リクオ君は氷麗ちゃんを追いかけて合流した島君に明るい笑顔を向けると、「じゃあ、4人揃った事だし、皆でパイレーツ乗ろうよ!」と口を開いた。
あ、パイレーツ! パイレーツに乗るんだったんだよね!
私はリクオ君の言葉に大きく頷く。
楽しい事してれば、さっきの泣きたいような気持ちも忘れられる!
走り疲れたのか、足取りがフラフラな島君を促し、私達は揃ってパイレーツへと向かった。
そして、遅いお昼ご飯をフードショップで取り、売店でお母さんへのお土産を買った。
その後、今度は迷路やお化け屋敷に入り、面白おかしい時を皆で過ごした。
時間が経つのは早いもので、あっと言う間に日が傾きかけている。
夕日が眩しい。
私達は遊園地を出ると楽しかった事を離しながら、浮世絵町駅に向かった。
そして、そこで解散と言う事になった。
「舞香ちゃん。送ってくよ。舞香ちゃんのお母さんと約束もしたしね!」
島君は先に帰り、3人で待合室内にて電車を待ってると、リクオ君にそう言われる。たが、私は首を振った。
「いやいや、電車の方向反対だから。リクオ君が帰る時大変だよ。それに、お母さんの事は気にしなくっていいって! だから、ここで解散ー!」
私はそう言葉を発すると、時計を見た。
もうそろそろホームに行った方が良いかもしれない。
席を立ち、2人に手を振りながら歩き出そうとした私の右手首を、リクオ君がガシッと掴んだ。