第12章 陰陽師には近寄るべからず
手を引かれて数分間私は顔を熱くさせたまま、ぐるぐる混乱していたが、ジェットコースターの乗り口に辿り着くと、そんなことは楽しみな気持ちに塗り替えられた。
「わぁ! リクオ君、ジェットコースター凄く早そうー! 楽しみだね!!」
「そうだね、舞香ちゃんはそんなにジャットコースターが好きなんだ?」
「そそそ! あの風を切る感じが気持ちいいの!」
「あははっ、そうなんだ」
待ってる人の列の後ろに並びながら、2人でそんな雑談をしていると、乗る順番が来た。ちらりと前の方を見るともう誰かが座っていたので、内心がっくり来る。
一番前に乗りたかったなぁ……
そう思っていると、並んでいる人をジェットコースターの席へと案内する係員さんが、真ん中を指さしながら私達に向かって口を開いた。
「君たちカップルは、あの人達の後ろへどうぞ」
私とリクオ君はキョトンとする。
「カップル? ん? 後ろの人達に言ってる?」
ぐりんと後ろに顔を向けるが、家族連れの人しかいない。
と、隣に居るリクオ君が、慌てたような顔をしつつその案内する人に首を振った。
「い、いや、ボク達まだカップルじゃないですから!」
「ああ、手を繋いでるから、カップルかと思ったよ。兄妹だったんならすまないね。ほら、乗った、乗った」
案内する人の言葉に、はっ! と自分の右手を見下ろす。何故か手はまだ繋がれたままだった。
ジャットコースターに乗る事が楽しみで、気が付かなかった!!
「う、わわわ、リクオ君、手、手ー!」
「ご、ごめんっ! 舞香ちゃん!」
リクオ君も無意識に私の手を握っていたようだった。
ぱっと離され、なんだか温もりが無くなって、寂しいような感じがしたけど、きっと気の所為!
気を取り直して、リクオ君と並びジャットコースターに乗ると、そのスピード感に夢中になった。
「次はリクオ君の番! 何の乗りたい?」
「あ。ボク実は、これに乗りたいんだ」
そう2人で話しながら、数個の乗り物を制覇し終わると、飲み物を買ってベンチで一休みをする。
コーラーを飲んで、あー面白かった! と満足していると、急に右隣に座っていたリクオ君が「舞香ちゃん」と声を掛けて来た。