第12章 陰陽師には近寄るべからず
唖然と見送っていると、「あの、舞香ちゃん」といつの間にか隣に佇んでいたリクオ君に声を掛けられた。
「ん?」
「あはは、2人がどっか行っちゃったから、一緒に回ろっか」
「て言うか、島君、思いっきり言動が怪しかったよ。なんで私達が用事があるなんて言ったんだろ?」
「あー、えっと、ボクも判らないなぁ……。ははは……。ほ、ほら、舞香ちゃんジェットコースターに乗りたかったんだよね。行こう!」
その言葉に島君への不信感は忘れ去られ、頭の中はジャットコースター一色に染まった。
「やった! 一番前がいい! 風が気持ちいいよね!」
「うん」
リクオ君は私に向かって柔らかく笑う。
その優し笑顔に、ふと先ほどのリクオ君の言葉を思い出した。
そう言えば、リクオ君、最初は大人しめの乗り物がいいって言ってたっけ?
でも、私に気を遣ってジェットコースターにしようとしてくれてる。
そう思うと何故か、胸がきゅっと痛んだ。
私はゆっくりと歩き出したリクオ君の背中に手を伸ばし、ぐっとTシャツを掴む。
「うわっ、どうしたの!? 舞香ちゃん!?」
驚いた顔で振り返るリクオ君に、私は口を開いた。
「えっと、フリーパス券、リクオ君のものだから、あの、リクオ君の好きな乗り物が先でいいよ?」
「え? ボクはそんな事気にしてないよ? 舞香ちゃん」
「うー、じゃあ、ジェットコースターの次はリクオ君の好きな乗り物!」
「うん!」
明るい笑顔で頷くリクオ君に、私も頬が緩み自然と笑顔になる。
と、私の笑った顔を見たリクオ君の顔が、見る間に赤くなった。
「どしたの!? リクオ君! 熱!?」
慌ててリクオ君の額に手を伸ばそうとしたら、リクオ君はブンブンッと大きく横に首を振る。
「な、なんでもないよっ! い、行こう! 舞香ちゃん!」
そう言うと、リクオ君は私の手を掴み、歩き出した。
ちょ、リクオ君!? て、て、手ー! なんで繋ぐのー!?
心臓が早鐘のように脈打ち、顔が熱くなる。
リクオくーんっ!