第12章 陰陽師には近寄るべからず
邪魅の事件から数日後、学校はすぐに夏休みに入った。
宿題も山ほど出されたが、ゆっくりやればいいよねー、とまだ一つも手を付けてない。
外の日差しが強い中、私はクーラーを効かせた自分の部屋でゆっくりくつろいでいた。
お小遣いで買った少年漫画をベッドの上で、腹ばいになりながら読む。
少女趣味のお母さんに見つかったら、絶対取り上げられる代物だ。
「おぉ! ここで、ここで!? え? 続き!?」
そう漫画に突っ込んでいると、玄関のチャイムが鳴った。
と、数分してお母さんから呼ばれたので、読んでいた少年漫画をベッドの下に隠し、階段を降りる。
「どしたのー? お母さん?」
そう問いながら、玄関へと向かうと、そこには憮然としたお母さんと、リクオ君、氷麗ちゃん、島君が居た。
……っ!?
リクオ君の姿に胸がざわりと騒ぐ。
でも、それを意識的に無視して一つ息を吸うと、私は首を傾げた。
あ、れ? リクオ君とつららちゃんがいつも一緒に居るのは判るけど、島君も一緒に居るなんてすごく珍しい。
と、隣に佇んでいるお母さんが私に視線を向けると不機嫌丸出しの声で口を開いた。
「舞香。こやつら、遊びに誘いに来たらしいぞえ」
しかし、お母さんの不機嫌さなど気にしてないように、赤い半袖のTシャツに黒い半ズボン姿のリクオ君は、人好きするような明るい笑顔を私に向けた。
「遊園地のフリーパスを貰ったんだけど、舞香ちゃんも行かないかな、と思って誘いに来たんだ」
!? 遊園地!!
「楽しそう! 行く、行く! ……あ。」
思わずリクオ君に行くと言ってしまったが、傍に居るお母さんの存在を思い出す。
私はそーっとお母さんを見た。
お母さんは無言で腕を組み、目には剣呑な光を浮かばせている。
なんだか不機嫌MAXな感じだ。
ううっ、なんで不機嫌!?