• テキストサイズ

【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第11章 邪魅事件発生


「芙蓉。我が子を信じてあげようね」

お母さんは、頬を赤に染めながら、お父さんの胸元を人差指でぐりぐりとする。

「せ、背の君がそういうなら仕方ないぞえ」
「ふふ、芙蓉。可愛いね。愛してるよ」
「背の君、妾もじゃ……」

抱き締めあい、「僕の方が愛してる」とか「妾の方じゃ」と不可視の大きなハートが何個も飛び交い始めた。
だめだ。完璧に私の存在を忘れ去ってる。
このまま、両親のいちゃいちゃを見続けているのも、なんだか精神的に来るものがあるので、エプロンを外すとダイニングキッチンを後にした。


自分の部屋に戻るとベッドにボフンと飛び込む。

「はー、自分の部屋って落ち着くー」

うつぶせに寝転がっていると、どっと疲労感が襲って来る。
昨日は眠る時間無かったから、疲労が取れてないのだろう。

「ちょっとだけ、寝よっかな」

お風呂も入らないといけないし、ご飯もまだだ。
でも、まだいちゃいちゃしてると思う。

「はぁ、いつまでもラブラブっていうのも、問題だよねー」

て、言うか、あの両親の血を引いてる私も、結婚して子供に引かれるほど、ラブラブ生活するのかな?
相手はやっぱり今好きな、清継君?

清継君との結婚生活を思い描こうとすると、何故か夜リクオ君に抱き締められる自分の姿が浮かんだ。

「って、えぇええ!? なんでそこでリクオ君を想像するの! 私ー!」

何故かすごく恥ずかしくて、ベッドの上をごろごろ転げ回る。
しかし、はた、と原作を思い出しピタッと動きを止めた。
そして、起き上がり私はまた自分に言い聞かせる。

「うー、リクオ君が最終的に好きになるのは、氷麗ちゃん。リクオ君は氷麗ちゃんが好き。私は好きになっちゃダメ、ダメ」

私が好きなのは、清継君!

でもなぜかズキズキと疼き出す胸の痛みに、私は拳を押し当て、目をぎゅっと瞑りながら耐えた。

……何故かその言葉を部屋の外に居た夜リクオ君に聞かれているなんて、思ってもみなかった。
/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp