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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第11章 邪魅事件発生


3日ぶりの我が家。
ほんのちょっとの間、離れていただけなのに、なんだかすごくホッとする。

「ただいまー!」

玄関のドアを開けると、ダイニングキッチンのある部屋からお母さんが飛び出して来た。
そしてこちらに駆け寄って来ると私を両腕で思い切りぎゅううっと抱き締めて来た。
抱き締められるのはいいけど、顔がお母さんの豊満な胸の間に埋もれ息苦しい。

「舞香! 舞香! よう、無事で帰って来た!」 
「むぎゅー、苦しい、苦しい、お母さん、ぎぶ、ぎぶっ!」
「すまぬ。嬉しゅうてつい力を込めてしもうた」

お母さんの二の腕をぱっしぱっしと叩くと、腕の力を緩め、私と目線を合わせるとそっと私の頬に両手を添えた。

「舞香。よう顔を見せておくれ」

お母さんは嬉しそうに微笑む。
その笑顔は見惚れるほど綺麗だ。
つい、見とれてぼうっとなっていると、お母さんは首を傾げる。

「変わらぬようで、安心したぞえ? ぬらりひょんの童(わっぱ)に無体な事はされてはないかえ?」

ん? わっぱってリクオ君の事だよね?
私は旅行の間、あった事を思い起こす。別に意地悪なんてされてない。
……、俵担ぎはされたけど! あれは、お腹が痛かった……

お腹の痛さを思い出し、眉を顰めてしまう。
と、私の顔を見ていたお母さんが心配そうに眉を寄せる。

「舞香……? 顔が曇っておるぞ。何か、あったのかえ?」
「え、あ、あはは、ない、ない! 意地悪な事なんてされてないから! うん!」

ただ、からかわれただけ!

と、突如、夜の廊下の片隅で後ろから抱き締められた事を思い出す。
それと共に、肩に乗せられた顎の重さや、夜リクオ君の腕の中の暖かさが蘇って来た。
急激に顔が熱くなる。
と、急にお母さんの目に怒気が宿った。

「舞香!? その顔はやはり何かあったのじゃな! 話すのじゃ! 舞香!」

強い口調で詰め寄られ、慌てて私は両手を横に振った。

「う、や、なんでもない、なんでもない!本当に!」
「……。わっぱに口止めをされたのじゃな。少し待っておれ、舞香。わっぱに少し灸を据えて来るでな」

お母さんは私の頬から手を離すと、エプロンを外し始める。

「わー、わー、待って、待って! 少しふざけて後ろから抱き着かれただけだってば!」

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