第11章 邪魅事件発生
私、今、何やった?
「うぐぁ……っ」
「ぐふっ……っっ」
雷によって黒焦げになった男達が地面へと落ちて来る中、私は自分の右手を見る。
今のなんだったんだろ?
無意識に身体が動いたと思ったら、黒服の男達へ攻撃していた。
なんで爪が妖怪化しただけなのに、妖怪の力が出たんだろう?
今が夜だから?
「うーん……?」
お母さんに聞いてみた方がいいかな?
と思っていると、突然拝殿の中から火の手が上がった。
それは見る間に木造の拝殿を覆いつくしていく。
そして、私達が出て来た所から、炎を背に夜リクオ君が刀を肩に担ぎながらゆっくりと姿を現した。
夜リクオ君は、黒焦げになって倒れている黒服の男達を横目で見ながら、こちらへと歩いて来た。
「舞香がやったのかい?」
「えーっと、うん、多分!」
「へぇ……人間の姿でも、案外やるじゃねぇか……」
夜リクオ君は片方の口角を上げ、私を見下ろす。
「いやいや。無意識、無意識! もう一度やれって言われても出来ないから!」
首を横に振りながら慌ててリクオ君に応えていると、ふいに後ろから「ひっ!」と小さな悲鳴が上がった。
ん? 菅沼さん?
どしたの?