第11章 邪魅事件発生
でも、誰も私達が入って来た事に気付かない。
「あの菅沼の家には、手こずったが今日で最後ですな。神主さん」
「まったくです。あの娘も今日貼った札が命取りになるとは、思わないでしょうなぁ」
「はっはっはっ、あの土地はラブホテル街にでもしやしょうか?」
「いいですなぁ……くっくっくっ」
「神主さんも悪だ……」
「お互いさまですよ、はーっはっはっはっ」
菅沼さんは、目の前で高笑いをする悪徳神主の姿に、怒りからか手を震わせた。
と、黒服の男の人達に混じり座っていたハセベというドレッドヘアの男が、何かに気付いたようにこちらを見た。
そして驚愕に目を見開く。
「ゲッ、お前は菅沼ん家の……っ!」
ハセベの声に、黒服の男たちの視線が、私達2人に集まる。
そう、夜リクオ君はいつの間にか姿を消していたのだ。
くうっ、こんな所に女の子2人放って行くなんて、100年の恋も覚めるよ!
リクオ君、好きじゃないけど!
そう思っただけなのに、胸がズキンと強く痛む。
「何!? なんで菅沼の娘がここに居る!?」
「なぜ、出られたんだ!?」
騒めく黒服の男達の間から、悪徳神主が柔和な笑顔を顔に張り付けながら、前に出て来た。
「品子ちゃん、ダメじゃないか。ちゃんと結界の中にいなきゃあ」
猫なで声で宥める様な口調の悪徳神主を菅沼さんは、キッと見据えた。
「聞いたわ! 全部! 騙していたのね!」
「そ、それは、誤解だよ。品子ちゃん」
「近寄るなー! あんた達ぐるだったのね! もう騙されないわ!」
菅沼さんは、伸ばしてきた悪徳神主の手をバシッと払いのける。
と、後ろに居た黒服の男達がいやらしそうな笑みを浮かべた。
「ばれちまったら、仕方ねぇよ、神主さん。捕まえて売っちまった方がいい」
「そうそう。2人共、磨けば売れっ子になりそうじゃん。ひっひっひっ」
「兄貴ぃ、捕まえたら、ちょっとくらい味見してもいいっすよね」
黒服の男達の言葉に、雲行きが怪しくなった事に気が付いた。
な、なに? 原作にこんな会話、あった?