第11章 邪魅事件発生
襖が袈裟懸けに斬られ、斜めに斬られた場所から音を立てて襖の上部が廊下へと落ちる。
それを見た夜リクオ君は小さく口角を上げると、私を肩に担ぎあげた。
視界が一瞬ぐるんと回る。
って、え?え?え?
なんで、俵担ぎされてるのー!?
「リクオ君、降ろして!私、関係ないってば!」
背中をばっしばっし叩くが、夜リクオ君は気にする事もなく、菅沼さんの部屋に近付いた。
と、突然前の部分で刀と刀がぶつかり合った音が響いた。
でも首を捻っても前は見えない。夜リクオ君の背中と後ろ髪しか見えない。
一体、何が!?
と思っていると、夜リクオ君が誰かに向かって口を開いた。
「オレは敵じゃねぇよ」
ん?確かこのセリフは……、邪魅が斬りかかって来た時に言ってたセリフだ。
と、言うことは……
原作を再び思い起こす。
確か、邪魅が札から生まれたものと戦っていた。
そのあと、夜リクオ君の登場となる。
ん?流れ通りに行ったって事で菅沼さん、怪我せずに済んでる?
安堵感に、ほー、と息を吐く。
良かったー。これで、ゆっくり眠れる……。
って、今、夜リクオ君に捕まってたんだったー!
「リクオ君、離して、離して!」
足をじたばたさせるが、私の腰を掴む腕の力は緩まなかった。
暴れる私の事なんてお構いなしに、夜リクオ君は話しをどんどんと進めて行く。
「詳しい事は道々話してやる……。この邪魅騒動のカラクリ、あばいてやるから……ついてきな」
「いや、その前におーろーしーてー!」
何故か俵担ぎされたまま、私も悪徳神主の居る秀島神社に行くことになった。