第11章 邪魅事件発生
私は原作を思い出す。
あ。あったあった。確かこの流れで悪徳神主がお札を渡して来るんだよね。
それは菅沼さんを陥れる為のお札なんだけど。
まあ、それを夜リクオ君が助けて、悪徳神主退治に行くんだよね。
でも、どんな意図があって、リクオ君がこういう言動をしたのか判らない。
まあ、このセリフのおかげで札が貰える流れになるんだけど……
……、そう言えば菅沼さんの家で白いものを退治した時、これは式神だとかリクオ君言ってたような?
もしかして、あの時からこの悪徳神主を疑っていた?
そして、しっぽを掴もうとお札を出させるように、訴えてるとか?
私は真剣な表情で悪徳神主に訴えているリクオ君の顔をじっと見る。
私はそこまで到底考えつかない。
すごく良く考えてるんだなぁ……
そう思っていると、悪徳神主は原作の通り、4枚のお札を取り出し、私達に差し出した。
そして、部屋の四方に貼り、その中、菅沼さん一人で寝ることを言われる。
札を見ながら、私は考えた。
原作通りに行くと、夜は夜リクオ君が動く。
ふむ。菅沼さんも心配だけど、一人でも夜リクオ君が居れば大丈夫だ。
そして、明日にはスムーズに帰る事ができる。
よっし、ゆっくり眠ろう!
皆が醸し出す真面目な空気の中、私だけお気楽気分で軽くスキップを踏んでいた。
しかし、夜になって布団を敷いている時、ふと嫌な考えが頭をよぎった。
今までは、イレギュラーの私が居ても、原作通りの物事が起こって来た。
まあ、微妙な違いがあるかもしれないけど。
でも、もし、その微妙な違いに菅沼さんが巻き込まれていたら?
襲って来た四方のお札から変化したお化けもどきに怪我をさせられてたら?
ちょ、ちょ、まずい!そうなったら、非常に後味がまずい!
私は、慌てて布団を敷き終えると菅沼さんの部屋が見える階段の影で、見守る事にした。
原作通りにいけば、ゆっくり眠ろう、と心に決めて。