第11章 邪魅事件発生
「あっ!」
菅沼さんが、声を上げる。
顔見知り?
と、ドレッドヘアの人は両ポケットに手を入れたままにやにや笑いつつ、言葉を続けた。
「家に居ないから逃げ出したのかと思ったぜ」
そして。ドレッドヘアの人の取り巻きであろう人相の悪い男が後ろから、私たちを舐めるように見回した。
「逃げ出しだんなら良かったのによ~。ひひひ、このままだとやばいことになっちゃうぜ~?」
やばいこと?
どういう事だろう?
訝し気に人相の悪い人達を見ていると、ドレッドヘアの人がこちらを見、驚愕に目を見開くと「ゲッ!?」と声を漏らす。
そして、慌てるように踵を返すとそのまま逃げ出すように私達に背を向けてダッシュで走り去る。
それを「どうしたんですか!?ハセベさん!」と取り巻きの男達が後を追いかけて行った。
???
何かに驚いてた?
「なんだったんだろ……」
「ホントだね」
隣に居たリクオ君が頷く。
そーだよねー。原作みたいにリクオ君の後ろに小妖怪達が居るはずないし。
「怖いものでも見たわけないし、ん?」
リクオ君の言葉に相槌を打ちながら、横を見ると、それは居た。
リクオ君の左肩からにゅっと顔を出している蛇妖怪が。
「リクオ君」
「何? 舞香ちゃん?」
「……左肩」
私は蛇妖怪を指さす。
「え?……、うわっ!いつの間に!?」
リクオ君はバッと蛇妖怪を掴むと後ろの方に駆け出した。
ふむ。ほんと、小妖怪達は神出鬼没なんだなー。
当初の予定通り私達は悪徳神主の神社を再び訪れた。
そして、先ほど人相の悪い男達の事と、邪魅が何体も居るのではないか、と言う見解を話した。
「ふむ。そのような事は無いはずですが……」
否定する悪徳神主に、リクオ君はいきなり口を開いた。
「神主さん!何か方法はないんでしょうか!?」
ん?こんな場面原作にあった?