第11章 邪魅事件発生
話しが終わると皆揃って秀島神社を後にした。
皆、無言だ。菅沼さんは意気消沈したように俯いている。
気にしちゃダメだなんて、気休めも言えない。
どうしたらいいかな?
と、すれ違うおばさん達のヒソヒソ声が聞こえて来た。
何を言ってるんだろう?と集中するとクッキリハッキリと声が届いて来た。
「あ、菅沼さんちの子だわ……」
「いやぁーねぇ。今度は菅沼さん家に出るそうよー」
「近寄ったら何か祟りがありそうで怖いわーっ!」
「そうそう。近寄らない方がいいわよ」
「ちょっ」
全部あの悪徳神主が悪いのに!
何か一言言ってやりたくて一歩前に出ようとすると、「舞香ちゃん!」とリクオ君に手を握られた。
途端、頭の中が真っ白になる。
え?え?え?
なんで、手!?手ーっ
顔が熱くなる。
あわわわ、冷めて!普通に戻って、私の顔ーっ
「舞香ちゃんが怒ることないよ、まだ」
と、謎の言葉をかけられ、へ? となる。
「リクオ君?」
と、突然清継君が大きな声を出した。
「そうだ!海に行こう!!」
その言葉に巻さんと鳥居さんの目が輝き出す。
「うそ!ホント!?」
「清継君の口からそんな気の効いた言葉が出るなんてー!」
「清継、イイ男ー!マジだよね!海!」
「もちろん、本気だとも!気分を晴らすには、海が一番さ!作戦を練るにも落ち込んでちゃ何にもならないしね!」
「キャー!清継、男前!」
「やたー!海ー!」
キャワキャワ騒ぐ巻さんと鳥居さん。
と、私は再び原作を思い出した。
海。そう言えば原作では漁港だったけど、現実ではどうなんだろう?
ビーチであって欲しい。
私はこっそり神様に祈った。
泳げますよーに!