第11章 邪魅事件発生
社務所内は、案外広かった。畳みを8枚か10枚くらい敷き詰めている感じだ。
入り口から手前の方に清継君、島君、リクオ君、カナちゃん。
その向かいの奥の方に、巻さん、鳥居さん、私、菅沼さん、そして氷麗ちゃんが座った。
多分ここに仲間(あのサングラス集団)も通すんだろうなぁ。
麦茶を出し終わった悪徳神主さんが真ん中に座ると、早速とばかりに清継君が口を開いた。
「神主さん。邪魅の事をよくご存知なんですよね!」
「もちろん……。昔からそういった邪魅騒動の話しが多いんだよ。ここは」
悪徳神主さんは難しい顔をしながら頷く。
ん?邪魅騒動の多い町?
ふ、とひっかかるものを感じ、それを掴もうとした瞬間、カナちゃんが身を乗り出し疑問を悪徳神主さんにぶつけた。
「じゃあ、昨日のお化けも何か言われがあるんですか!?」
「お化け?」
私が疑問を発するとカナちゃんは大きく頷く。
「そうなの!舞香ちゃん!昨日の夜、お札をいっぱい貼り付けたお化けが出たの!暗闇の中ですごく怖かった……」
思い出したように体を震わせる。と、清継君が口を挟んで来た。
「なんだって!家長さんは邪魅を見てたのかい!ずるいぞ!ボクも見てみたかったー!!」
ダンダンとテーブルの表面を拳で叩きながら嘆く。
「もう!本当に怖かったんだから!」
言い募るカナちゃんにすぐ復活した清継君はマイペースに、チチチと人指し指を振る。
「しかーし、家長さん!予習不足だぞ!そのお化けの言われこそ、ねー、神主さん!あの伝説の話しですよね!」
「うむ……」
そして、私が原作で読んだ通りの話しが語られ始めた。
藩主の妻に嫉妬され、地下牢に入れられたあげく地ならしに飲み込まれた若い小姓の話し。
まだ藩主一族に恨みを持っている小姓の霊が、邪魅となり祟っているらしい。
と、再び疑問が浮かんで来た。
邪魅って藩主に裏切られた小姓が正体なんだよね?
て、ことは、藩主だけ狙えばいいのに、この町全体に影響を及ぼしてる。(まあ、大雑把に言えばだけど)
なんでだろ?
町では疑問が出て来なかったのかな?
不思議だ。