第11章 邪魅事件発生
やって来ました。邪魅の居る町へ!
電車から降りるとそこは、古めかしい町が一望できる小高い丘の上だった。
町へ下りる歩道には、赤茶色のレンガが敷き詰められている。
そして、町の向こうには輝く海が広がっていた。
「うわー、キレー!」
「いいながめー!」
「光ってる!海キラキラ~!」
カナちゃん、巻さん、鳥居さんの歓声が上がる。
もちろん私も、目を大きく見開きながら歓声を上げた。
だって、町の向こうに見えるマリンブルーの海がすっごいキレイだったから!
いやー、期末テストの点数もなんとかまともな点数が取れて、心の重荷が無くなったから、解放感でいっぱい!
ちなみにテスト前、内緒にされていた旅先は、原作通り、邪魅の住む町だった。
最初は渋っていた巻さんと鳥居さんだったが、行き先に海があると聞き、コロッと意見を翻した。
「海ー! あの海で泳ぐんだよねー!」
「いいじゃん、いいじゃん!」
確か原作では、カニ漁業の町で泳げないって事だったけど、これだけは、原作と違って欲しい。
だって、泳ぎたい!
泳げるかなー? と、期待を込めて海を見ていると、横に居たカナちゃんが不安げに呟いた。
「妖怪退治なんて……。ゆらちゃん抜きで大丈夫かなぁ……」
再び原作を思い出す。
確か、ゆらちゃん抜きでも、夜リクオ君の活躍で邪魅騒動収まるんだよね。
私は安心させるようにカナちゃんへ笑顔を向けた。
「大丈夫だよ! 枕元に立つだけの妖怪だって清継君言ってたし」
「うん……。そ、そうよね。ありがと、舞香ちゃん」
「いえいえ、どういたしまして!」
うん。今回も原作道りになるよね!きっと!
………多分!!
私はそっと後ろを歩くリクオ君に目を向けた。
と、何故か5人組の大人に絡まれていた。