第10章 期末テストなんてあるんだね
でも、ここで泣いたら、リクオ君に迷惑かけてしまう。
本当にお母さんがごめんなさい……っ
私はぐっと拳を握ると、部屋の入り口に居るお母さんに向かって、視線をキッと向けた。
「お母さん!いきなり電撃で攻撃したら、リクオ君が死んじゃうよ!」
と、雷獣に変化したお母さんは喉の奥で、グルルルと唸った。
「あやつの孫がこれしきの事で倒れるはずなかろう!」
「でも、リクオ君は人間の血も入ってるよ!」
「今は妖怪だぜ?」
夜リクオ君が平然とした顔で口を挟む。
いやいや、リクオ君も怒っていいんだよ!?
どうして怒らないの!?
そう口にしようとした時、後方から知らない青年の声が上がった。
「おいっ、何事だ!? っ、若!?」
開いていた窓から姿を現したのは、昔の鎧に身を包み兜巾(ときん)を被った黒髪の青年だった。
背中には黒い翼を生やし、手には錫杖を持っている。
夜リクオ君を”若”と呼び、黒い翼を持つ妖怪……
もしかして……鴉天狗の黒羽丸!?!?