第10章 期末テストなんてあるんだね
私はとっさに目を閉じる。
「危ねぇ!」
と、聞こえて来たのは夜リクオ君の声だった。
瞼の裏側まで白い光が迸(ほとばし)る。
パリパリと身体の周りに電気が帯電する音も聞こえて来る。
でも、何も感じない。
すごい痛みを覚悟していたんだけど、全く痛みは襲って来なかった。
「あれ? え?」
その代わり、額にパリパリと熱が集中していた。
「なに? これ?」
そっと目を開け、額をあたってみると、額の中央に1本角が生えていた。
それが熱を持っている。
電撃を吸収する為本能的に角が出た?
と、雷獣に変身したままのお母さんが、口を開く。
「舞香を庇った事は褒めてやるぞえ。奴良のわっぱ」
うえ?
前を見ると私を庇うように左腕を上げたまま、片膝をついた夜リクオ君の姿があった。
息切れしているように、少し肩が上下していた。
「リ、リクオ君!? 大丈夫!?」
「こんくれぇ、平気だぜ。舞香こそ平気だったのかい?」
振り返って問うて来た夜リクオ君の顔が所々赤くなっている。
痛そう……
「うん、平気。……、庇ってくれてありがとう……。そして、お母さんがごめんなさい、リクオ君」
すると、頭の上に手の平を乗せられ髪をくしゃりとされる。
そしてニッと笑った。
「大事が無くて良かったぜ」
触れられた手の平の暖かさが心地良い。
そして、庇ってくれた優しさに、胸がじんとなり、なんだか涙が出そうになった。