第10章 期末テストなんてあるんだね
思い思いに座った皆は、真面目に教科書を広げて勉強……は、しなかった。
清継君はノートパソコンを取り出し一心不乱に何かを打ち込んでるし、島君は清継君のノートパソコンを横から覗き込んでいる。
そして、巻さんと鳥居さんは楽しげにお喋りを始めていた。
真面目に勉強を始めているのは、私とカナちゃんとリクオ君だけだ。
半分以上勉強会になってない。
いいのかな?
…………。
いーよね。うん。本人達に勉強する意思がないんだし。
とっ、人の心配より、自分の事、自分の事!
私は数学の問題集を取り出すと、シャープペンを握り締めた。
『次の式を文字式の表し方にしたがって書きなさい』
7+Y÷3?
「……………」
最初7を3で割った方がいーのかな?
それとも、7と3を足して、Yで割る?
「う―――――ん」
わからないっ!
グルグルしだした頭を抱えていると、真向かいに座っているリクオ君から声を掛けられた。
「舞香ちゃん、ボクが判らないとこ教えてあげるよ。どの問題が判らないの?」
「えーっと……これ……」
「あ、これはね」
リクオ君は懇切丁寧に判り易く教えてくれた。
「あ、そっか! ありがとう、リクオ君!」
感謝の気持ちを込めてリクオ君を見ると、何故かリクオ君の頬が薄らと赤く染まった。
ん? と首を傾げていると、私の右横に座っていたカナちゃんが口を開いた。
「流石リクオ君。でも私だって期末は負けないから!」
可愛らしく宣言するカナちゃん。それに反応したのは、リクオ君の横に座っていた氷麗ちゃんだった。