第10章 期末テストなんてあるんだね
「あら、リクオ様…いえ、リクオ君が家長に負けるはずがないじゃない。寝言は帰って言いなさいよ」
「あら?あなた自身はどうなのかしら?」
「ホホホ。出来ないわけないじゃない」
「フフフ…」
「ちょ、カナちゃんも氷麗もやめなよ」
「「リクオ君(様)は黙ってて(下さい)!」」
なんだか反りが合わなさそうな2人なのに、息ピッタリだ。
2人の言葉に「はい…」と首を竦めて引き下がるリクオ君。
うん。君子危うきに近寄らず、だよ、リクオ君。
私は睨みあう2人を放っておいて、次の問題に取りかかった。
と、突然巻さんと鳥居さん2人の感嘆の声が上がった。
「うわっ、美っ人!」
「キレー!!!」
ん?
顔を上げると、リビングの入り口に8人分のジュースとお菓子を乗せたトレーを持つお母さんが立っていた。
そして、鮮やかに紅いお母さんの唇が微かに動いた。
「ぬらの坊主が来るなんぞ聞いておらぬぞえ……」
んん?