第10章 期末テストなんてあるんだね
そして顔を近付け小声で話しかける。
「ところで有永さん。この辺に妖怪が出るという情報をキャッチしたんだが、本当かい?」
「妖怪?」
「そう。妖怪”足売りばばあ”。いつも背中に籠を背負っていてね。出会う子供に足がいるかどうか聞くんだ。”いる”と答えると籠の中の足を取りつけられて、”いらない”と答えると足を鎌で切り取られるんだよ」
「あ」
そう言えば……!
不気味なお婆さんに追いかけられて、夜リクオ君に助けられた事がある。
あのお婆さんがもしかして、妖怪”足売りばばあ”!?
と、ガシッと両肩を掴まれ、凄い勢いで迫られた。
「出会った事があるんだね!? 有永さん! そこの所、詳しく説明してくれたまえ! 詳しくっ!」
近いっ、近いっ、顔、近い――っ!
「ダメだ!」
「え?」
ぐいっと腕を掴まれると共に後ろに引っ張られた。
後ろを振り向くと、それはリクオ君だった。