第10章 期末テストなんてあるんだね
やっと頬の熱さが取れて来たかと思ったら、2人の友達にからかわれ、カナちゃんがそれを止めてくれた。
ありがとう。カナちゃん。
でも、2人が席に戻った後、コッソリ耳打ちされた。
「ごめんね。舞香ちゃんには悪いけどリクオ君は私の事が好きだと思うの」
へ?
目が点になると同時に、胸へ鈍い痛みが広がった。
この鈍い痛みの意味は、いくら私でも判る。
何度も自分に言い聞かせているのに……
私は無理矢理笑顔を作ると、いやいやいや、と首を振った。
「違う違う、2人の勘違いだって」
「え? そうなの?」
首を傾げるカナちゃんを安心させるように、私はコクコク頷く。
「リクオ君はただの友達だよ」
「そ、そうよね!」
そしてカナちゃんは、あらぬ方向を向いて、私の勘違い?と呟く。
うん。勘違い、勘違い。
うんうん、と頷いていると、カナちゃんは再びこちらを向いた。そして、軽い口調で尋ねられる。
「じゃあ、舞香ちゃんが好きな人って誰?」
「う、えっ!? い、いないよ?」
「本当?」
じーっと綺麗な目で見つめられ思わず目を逸らしたくなる。
それをこらえ、「本当、本当!」と返した。
それを信じてくれたのか、カナちゃんは見つめるのを止め、何か考え込み出した。
私はホッと溜息をつく。
勘違いされなくて良かった……
でも……、確か原作でもカナちゃんは、さっきみたいな事をゆらちゃんに言っていたけど、結局氷麗ちゃんが勝利するんだよね。
やっぱり、いつもリクオ君の身を案じているから、氷麗ちゃんが勝利したのかなぁ?
そう考えても、鈍い痛みが胸を襲った。
はあ、痛みが消えない……。言い聞かせてもダメだ。
こうなったら、身近な男子を好きになるよう、頑張ろう!
「頑張れ!私っ!」
むんっと自分に気合いを入れると、カナちゃんが吃驚したような目で振り向く。
そして再び誤解され、誤魔化すのに苦労した。
だから、カナちゃん! 自分に気合い入れてたのは、リクオ君が好きだからじゃないってー