第10章 期末テストなんてあるんだね
「確か……」
四国との戦いから数日後。
騒がしい教室の中、私は自分の机の上に頬杖を付いていた。
原作通りに行けば、四国との戦いが終わった後は、邪魅騒動がある。
確か、どこかの町に住む女の子から救援のメールが、清継君に届くんだよね。
それが事件の始まりで――。
と、ふいに肩を叩かれた。
それはリクオ君だった。
触れられた肩が熱を持ち、心臓がドキドキ早くなる。
ちょっ、なんで? 静まれ、心臓!
ドキドキしながらリクオ君を見上げると、リクオ君は明るい笑顔を私に向けながら口を開いた。
「舞香ちゃん。数学のノート集めてるんだけど」
す、数学のノート?
って、まだドキドキが収まらない!
くーっ、平常心!平常心!!
「え、えーっと、数学のノート? ……。もしかして、宿題をやったかどうかの確認の提出……、とか?」
さっきとは違う緊張感に心臓がドキドキし出す。
しゅ、宿題、判らなくてほとんどやってない。
どうしよう!!
と、リクオ君は首を振った。
「違うみたいだよ? 期末テスト前だから、ちゃんとノート取ってるかどうか、確認するんだってさ」
「なんだ、良かったー。ただ提出するだけなんだー……、って、ん? 期末テスト?」
「うん。期末テスト。来週の月曜からだって。早いよね」
期末テスト――!?
忘れてた! 邪魅騒動の前に期末テストってものがあったんだー!
勉強、やってない! やってない!
どうしよ、どうしよ!
期末って確か、範囲が広いんだよね?
数学は諦めるとして、他の教科、一夜漬けで覚えられるかな?
オロオロしてると、心配げな表情で顔を覗かれた。
「舞香ちゃん? また具合悪くなった?」
「わっ!」
顔が、近いっ!!
ドキンッと大きく心臓が脈打ち、私は思わず上体を反らす。
そして顔がすごく熱くなる。
ううっ、きっと今私顔が真っ赤だ! 恥ずかしいっ!
私は恥ずかしさを隠すように口早に答えた。