• テキストサイズ

【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第9章 覚醒


思い立ったら即行動! と、私は部活を早目に切り上げ、玄関口から校門まで伸びたスロープを駆け下りた。
と、校門を抜けた所で車のクラクションが響き渡った。

ん?

クラクションが鳴った方向を見ると、歩道の脇にお父さんが車を停めて待っていた。

どしたんだろ?

車に駆け寄ると助手席側の窓が自動で開く。

「お父さん?」
「やあ、舞香。この頃物騒な事が続くから迎えに来たんだよ」
「迎えって……」

確か部室……じゃなくて、生徒会室を出たのは16時だ。
そして、お父さんの会社の退社時間は17時。

あれ?
「今日帰るの早かったんだ」
「ふふ。舞香の事が心配だったからね。さあ、早く乗りなさい」
「うん……」

返事を返し車のアウターハンドル(取っ手)に手を掛けたとたん、ハッとある疑いが唐突に浮かんだ。

そう言えば、カナちゃんに化けた妖怪も居た。
もしかしたら、目の前に居るお父さんも妖怪が化けてるかもしれない!

私は助手席のドアを開けるのを止め、眉を顰めながらお父さんを見た。
にこやかに微笑みを浮かべているお父さん。
偽物には見えない。
でも、もしかしたら……

「お父さん……。変な事聞くけど、お母さんの名前は?」
「?? 芙蓉だが、突然どうしたんだい?」

不思議そうな顔をして返事を返すお父さん。

でも、妖怪であるお母さんの名前は、同じ妖怪同士なら知ってるかもしれない。
……、これなら!

「あともう一つ!」
「?」
「奴良家の人達の事……、どう思う?」

偽物のカナちゃんは、ぬらりひょんさん一族の事を憎むべき敵だと言っていた。
目の前に居るお父さんも同じ事を口にしたら、偽物だ。
だって、本物のお父さんはお母さんに、ぬらりひょんさんの事悪く言うの咎めてた!

ゴクリと喉を鳴らしつつ、お父さんを見つめる。
するとお父さんは更に首を傾げながら口を開いた。

「奴良家の皆さんの事かい? 確か芙蓉と舞香が苦手にしていた方々だね。ボクは別に何も思っていないよ? 相手の良い所を知ろうとしないで一方的に悪しき様として言う事は悲しい事だからね」

諭すように言うその言葉に、私は、ほう、と胸を撫ぜおろした。

良かった! 本物のお父さんだ!
/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp