第9章 覚醒
休む時間がたった1時間くらいしか無かったのだけど、私は一応ベッドに横になった。
すると様々な事柄が頭の中に蘇って来る。
カナちゃんに化けた妖怪の事。羽衣狐の元に居るはずの鏖地蔵が私に洗脳を施した事。
そして、奴良リクオ君にあらぬ恨みを抱いていた事。
「奴良君、私の態度がなんでトゲトゲしいんだろ?って思ったんだろうな……。くーっ、私のバカバカバカ!」
枕をボスボス叩くと、ポフンッと頭を埋める。
最低だ。
好きな人に、そんな風に思われるなんて……っ!
と、ふいに夜リクオ君が薬を持って来てくれた事を思い出した。
「って、私、あの時確か……」
確か、確か、確か、意趣返しに……「ほっぺにキ、キス……っ」
ボボボッと顔から火が吹くほど、熱くなる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!
なんであんな事したんだろ! 私ー!
オロオロするが、更に重要な事を思い出した。
暴走した間、夜リクオ君の肩に酷い傷を負わせてしまったのだ。
急に胸がズクズク痛みだした。
申し訳なくて仕方がない。
「奴良君に会って、謝らないと……」
好きな人を傷つけるなんて、本当に最低だ。
私に奴良リクオ君を好きになる資格なんてやっぱりないんだな……
「やっぱり、奴良君には、氷麗ちゃんが一番お似合いなんだ……」
すごく自分が情けなくて、涙がポロリと頬を伝った。