第9章 覚醒
確か夜雀の正体は、確か安倍家歴代当主の式神。
その当主の名前は忘れたけど……
今、その当主は、百物語組に夜雀を貸し与えている。
いずれ奴良リクオ君が戦わないといけなくなる相手。
強い”力”を持つ敵。
でも、今の私は弱い。
奴良リクオ君の手助けなんて出来ない。助けようとしても、殺されるのがオチだ。
「強く、なりたい……」
もっと、強い”力”を持ちたい。
今日みたいに、何も出来ないなんて、嫌だ!
その呟きをぬらりひょんさんが聞いていた事に、私は全く気付かなかった。
その後も原作通りの出来事が起こった。
フードを被った男の人(きっと狒々の息子)が弱った玉章を殺そうとするが、ぬらりひょんさんとスーツ姿のおじさんが疾風のごとく駆け、それを阻止した。
そして、スーツ姿のおじさんは、姿を巨大な狸へと変え、許しを請うた。
その巨大さに吃驚していると、お父さんとお母さんが、駆け寄って来た。
お母さんは人型に戻っている。
そして、2人に何故か「無茶はするんじゃない」と抱き締められた。
うーん。無茶なんてしてないけどな?
それを素直に口にすると、お母さんから怒られた。
なんでだろ?
その後、お父さんの車で家に帰った。ちなみに、姿はいつの間にか人間に戻っていた。
もしかしたら、半妖だから変身時間は半日なのかな?
そして、一睡する間もなく、朝がやって来た。