第9章 覚醒
轟音と共に、雷に打たれる玉章。
しかし、どこにも傷はついてなかった。
玉章は、ゆらりとこちらを見据える。そして、歪な形状となった刀を振り上げた。
「有永舞香。ボクがこの程度の攻撃で倒れると思ったのかい? 自分の選択の過ちを後悔しながら、死ぬがいい」
そして歪な形状の刀は爆風を伴いながら振り下ろされる。
近付いて来る凶器。
防げない!
思わず目を閉じると、ギンッと大きな音が響いた。
……、え?
恐る恐る目を開けるとそこには葱緑(そうりょく)色に包まれた大きな背中があった。
少し上には銀の髪が靡いている。
そして右肩が赤に染まっていた。
夜リクオ、君!?
夜リクオ君は自分の刀で玉章の刀を受け止めながら口を開いた。
「てめぇの相手はオレだろ?」
「奴良リクオ……」
「最後の決着と行こうぜ」
「……。フッ……、ボクと君の格の違いというヤツを思い知らせてやるよ」
「はっ。言ってろ」
そして、再び2人の激しい戦いが始まった。