第9章 覚醒
「舞香。手出し無用だぜ……」
「だって、私の所為で!」
「こんくらい、どうってこたぁねぇ」
夜リクオ君はニッとふてぶてしく笑う。
胸の奥が痛くなった。
ごめん。
私が暴走したから、怪我したんだよね。
原作では、こんな所で怪我なんかしないのに……
申し訳なくて仕方がない。
と、横から唐突に可愛らしい女の子の声が割り込んで来た。
「若!」
氷麗ちゃんだ。
「じっとしていて下さい! ここは、この雪女が敵を倒してみせます!」
「余計な事すんな。雪女」
「いーえ! 若は黙っていて下さい! さあ、かかってらっしゃい! 私が相手です!」
つ、氷麗ちゃん?
呆気に取られる夜リクオ君と私の前に、氷麗ちゃんは薙刀を構えながら進み出た。