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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第9章 覚醒


と、ふと気付く。
あれ? 帰り際、名前呼び捨てされてなかった?
なんで?

不思議に思っていると、突然甲高い耳鳴りが聞こえて来た。
セミの鳴き声のような高い音が耳の奥で鳴り響く。

な、に?

必死に両耳を押さえてもその音は鳴りやまない。
そして、頭の芯がズクズクと痛みだす。

「いっ……!!」

その痛みに耐えるので精いっぱいで、言葉にならない。

この頭痛、なに!?

私はその場にうずくまった。
と、蔑みを含んだしゃがれた声が上から降って来る。

「奴良リクオを殺る絶好の機会じゃったのにのう。使えん獣じゃわい」

だ、れ?

激痛を堪えながら、顔を上げると何時の間に現れたのか、窓の外から縦長頭の老人がこちらを覗き込んでいた。
その老人の額には巨大な一つ目があり、両目に傷跡があった。
老人はフンッと鼻を鳴らす。

「ヤツめ。ワシを無能扱いしおってからに」

こいつ、誰?

頭が痛すぎて考えが纏まらない。
痛みを堪える私に構わずその老人は、部屋の中に入ってくると、私の前髪を掴み上げた。
そして鷲鼻を近付ける。

「のう、雷獣の娘。なぜ、奴良リクオを血祭りにあげん?」

私は眉を顰めながら横に首を振った。
そんな私を見て、老人は顔を顰めた。

「ふむ。洗脳の力加減を間違えたかのう。仕方ないわい。ワシの全力を出すかのう!」

その言葉が終わると同時に、カッと巨大な一つ目から赤い光が放たれた。

「奴良リクオは敵じゃ。憎め。そして殺すんじゃ!」

頭の中に老人の言葉が刻み込まれる感覚に襲われる。
そして、その言葉しか考えられなくなった。

奴良リクオ、敵。
憎む。
殺す。

「奴良リクオは、敵……」
「そうじゃ。娘。お主の全力をもって奴良リクオを殺すんじゃ」

全力で。
殺す。

「コ、ロ、ス」

身体がカッと熱くなった。

アツイ

熱が身体を駆け巡る。
それと共に、身体が変貌していくのを感じた。
人間の身体のままだが、四肢の骨が今までよりも伸び、額から一本の長い角が生える。
そして耳が尖り、爪が伸びた。
熱い力が身体中に漲る。

「―――っ」

私は大きく吠えた。

「フェッフェッフェッ。そうじゃ。その爪で憎きぬらりひょんの孫を引き裂くんじゃ!」

奴良リクオをコロス!
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