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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第9章 覚醒


「……あ、の……、さっきよりマシになったから、もう歩けるよ……?」
「うーん。でもまだ痛いんだ……。雪女。鴆君に連絡取れるかな?」

ちょっと待って! 歩けるくらい回復したって言ってるのに、スルー!?

心の中で奴良リクオに突っ込んでいると、雪女はキョトンとしながら首を傾げた。

「鴆様に?」
「うん。有永さんは妖怪の血が入ってるから、鴆君の薬、効くと思うんだ」

と、雪女は驚愕に目を見開いた。

「ちょ、ちょっと待って下さい! 有永は妖怪だったんですかー!?」
「あ、この事は皆にはナイショにしといてね。有永さんのお母さんとの約束なんだ」

お母さんとの約束?

私は思わず仮病の演技を忘れ、眉を顰めながら奴良リクオを見上げた。

敵なのに、なんでお母さんと約束交わしてるんだろう?
もしかして、お母さん騙されてる?

私は険しい視線を奴良リクオに向けるが、奴良リクオは何をい勘違いしたのか、心配そうな表情で私を見つめた。

「有永さん、大丈夫? やっぱりベッドで休んだ方がいいか……」

最後の方は呟き声になっていたが、抱きあげられていたので、しっかり耳に入って来た。

ベッド=自宅のベッド=帰宅する
うんうん。私一人で担任の先生に具合が悪いって言いに行くから、早く解放して!

そう心の中で奴良リクオに叫んでいると、奴良リクオは保健室の扉に視線を移し、雪女の名前を呼んだ。

「氷麗」
「はい、若?」
「この扉。壊すから手伝ってよ」

は?

私は、自分の耳を疑った。

壊すって聞こえたけど、気の所為?

と、雪女は慌てたような表情で返事を返した。

「わ、若!? いいんですか!? 若の嫌いな悪行になっちゃいますよ!?」
「非常事態だから仕方ないよ」

ひ、非常事態って!?

呆気に取られていると、雪女はしぶしぶ頷き冷気を扉に吹きつけた。
ピキピキピキ、と凍って行く扉。
それを奴良リクオは勢い良く蹴りつける。

うわー!? 何、してるの!?

扉は簡単に前へと倒れて行き、中への道が開いた。
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