第9章 覚醒
思い切りブンブンと首を横に振るけど、何を勘違いしたのかカナちゃんは困ったような顔を奴良リクオに向ける。
「舞香ちゃんの数学嫌いにも困っちゃうわ」
「はは……。数学面白いんだけどな」
「ちがーう!」
「「え?」」
と、背中に何か視線を感じ、バッと振り向くと後ろの出入り口に犬神の姿があった。
視線が一瞬交り合ったと思うと、スッと犬神の姿は消えた。
昨日のやり取りを思い出す。
「また来るぜよ」って言ってた犬神。
もしかして、私に会いに来た?
それにこんな時間に来るって事は、重要な話しがある?
私はそう考えると、顔を顰めながらお腹を押さえた。
「あ、いたたたたっ」
「え? 舞香ちゃん?」
「有永さんっ!?」
「お、お腹がすごく、いたっ……。ごめっ……、保健室に……」
「ボクが連れてくよ!」
その言葉に一瞬呆けてしまう。
「い、いや、自分で……」
「先生! 有永さんが具合悪いので、保健室連れてきます!」
「おー、奴良。頼んだぞ」
ちょ、ちょ、ちょ!
内心慌てる私に構わず、奴良リクオはひょいっと私の身体を横抱きに抱えると、教室を出て保健室を目指した。
どーしてこーなるの!?
私は泣きたくなった。