第9章 覚醒
そして3限目の数学の時間。カナちゃんの言葉通り、数日前あった小テストが返って来た。
見事な点数に思わず、現実逃避をしたくなる。
思い浮かぶのは、角を生やしたお母さんの姿。
「どーしよ……隠す、も出来ないし……。あ! 持って帰らなければいーんだ!」
ピコーンとナイスアイデアが閃く。しかし、別の危惧が頭に浮かんだ。
掃除の時間とかに机を運ばれるのだ。
何かの拍子に中身がバラまかれる可能性もある。
「誰かに見られる……」
点数の部分だけ折り曲げたプリントを持ったまま、机の上にへたり込んだ。
「むー。ほんとどーしよー……」
と、前触れもなくプリントが手からスッと抜き取られた。
「20点……」
ガバッと起き上がると、私のプリントを持ちながら眉を顰めたカナちゃんが居た。
その横にはそれを覗き込む奴良リクオが居る。
「ちょっ! 返し……」
と、プリントを奴良リクオに渡したカナちゃんが、私の両手を取りそっと握り締める。
「舞香ちゃん。大丈夫よ。今度、一緒に勉強しましょう?」
面食らう私に隣から奴良リクオが口を開く。
「ボクも手伝うよ」
いらないっ!