第9章 覚醒
緊急入院をしたらしいが、見た限り元気そう。
その元気な姿に重い病気じゃなくて良かった、とホッとしていると、カナちゃんが首を傾げながら疑問をぶつけた。
「突然入院だなんて、ビックリしちゃった。どうしたの?」
「あ、えっと……私ね、昨日「ぱっぱらぱっぱっぱーん! 見たまえ、鳥居さん!」
と、清継君は鳥居さんの言葉を遮り、ジャジャーンと効果音を付けながら、千羽鶴を鳥居さんに差し出した。
「ボクの熱い想いがこもった千羽鶴だよ! 時間が無くて178羽しか折れなかったけどね! さあ、遠慮なく受け取りたまえ!」
「……! あ、ありがとう」
鳥居さんは吃驚したような顔をするが、笑顔でそれを受け取った。
そして、受け取った千羽鶴をじっと見つめた。
「私ね、昨日意識不明で病院に運ばれたんだけど、ずっと危篤状態だったらしいんだ。でも、朝方、不思議な現象が起こったって……。この千羽鶴を見てると千羽様に救われた気がする」
「危篤!? 大丈夫!? 起きてるのも辛いんじゃ……」
「あはは。大丈夫。元気だよ! ね、巻。見て! 清継君に千羽鶴貰ったよ!」
危篤と聞き心配になり声を掛けるが、鳥居さんは明るい表情で返事を返してくれると、寝ている巻さんに声を掛けた。
と、突然巻さんが奇声を上げながら、飛び起きる。
「千羽ー!?」
「ど、どうしたんだい!? 巻君!?」
驚いたように目を丸くする清継君に構わず、巻さんはキョロキョロと周りを見回した。
そして、鳥居さんの手の中にある千羽鶴を見ると、胡乱げな視線を鳥居さんに送る。
「ちょっと鳥居。もしかしてまた私を千羽様のとこ行かすんじゃないわよね?」
「「「千羽様?」」」