第9章 覚醒
「リクオさ…、君。どうしたのです? お顔が真っ赤ですよ? ハッ!? まさか熱!? 早く冷やさないと!」
「うわ! 氷麗、違うって! なんともないよ!」
「でも、耳まで赤く……もごもご」
「しーっ! しーっ!」
妙な会話に私は首を傾げると、カナちゃんを見る。
カナちゃんもさっぱりワケが判らないようで、同じように首を傾げた。
奴良リクオ。敵ながら、判らない反応をする。
と、カナちゃんが思い出したように口を開いた。
「中学ってテストばかりで、嫌よねー。そう言えば、この前あったテスト、明日帰って来るらしいよ」
「え゛」
この前のテストと言えば、あの数学の小テストしか無い。
全然解けなかった問題と、ほとんど白紙に近い答案用紙を思い出す。
同時に鬼と化したお母さんの顔が頭に浮かび、私はその場で頭を抱えた。
「怒られる……」
「あは……元気だしてよ。舞香ちゃん」
「無理ー……」
と、ブザーが鳴りバスが停まる。
いつの間にか浮世絵総合病院に着いていた。