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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第9章 覚醒


―― 奴良リクオは敵じゃ。そして正義は四国の玉章にありじゃぞ。脳に刻み込まれる言葉は、絶対じゃ。解けるのは、ワシ以外おらぬわ ――

フェフェフェ、と誰かが顎髭を揺らせながら歪に笑った。


ふと気がつくと、私は自分の部屋の入り口に佇んでいた。

「あれ? 私?」

キョロキョロと辺りを見回す。
そこは家の中だった。
目の前には、自室のドア。右手でドアノブを掴んでいる。

何時の間に家に帰って来たんだろ?
さっきまで学校で日誌を書いてたはずなのに?
おかしい……

眉を顰めつつ、首を傾げる。

「なにかあったような気がするけど…」
そう。何か。
「んー」

思い出そうとしても、思い出せない。日誌を書いた後の記憶が無い。
先生にどうやって日誌を渡したのか。そして、帰りの電車に乗った記憶が無い。
ポッカリと空白になっている。

「なんで?」

頭に力を入れて、真剣に思い出そうとしてみても、思い出せない。
ただ頭が痛くなるだけ。
自分の行動を思い出せないなんて、初めてだ。

私は首を捻りながら、ドアを開け部屋に入る。
そして鞄を学習机の上に置き、普段着に着替え、窓の外を見た。
いつの間にか、真っ暗だ。
ベッドの上の目覚まし時計に目をやると、数字は19:23となっていた。
確か日誌を書いていた時間は16時過ぎ。
空白の時間は3時間。

この3時間、何してたんだろ?

不安が胸を覆いつくす。
ベッドに腰かけ、眉を顰めているとお腹がきゅるるとご飯を催促するように鳴り響いた。

「取り敢えずご飯食べよ」

空腹では、考え事もできない。

私は下の階に降りた。
ちなみに私の家は2階建てだ。2階に私の部屋があり、1階は両親の部屋がある。
と、階段を降りている途中、カレーの良い匂いが台所から漂って来た。

おぉ! 今日はカレー!
お母さんのカレー、すっごい美味しいんだよね!

足早で台所に向かうと、鍋をかきまぜているお母さんが居た。

「お母さん、お腹減ったー!」
「舞香? ダイエットの為夕餉はいらぬと言っておったのではないかえ?」
「へ?」

私、そんな事一言も言ってない。

「言ってないよー、お母さん」
「はて? 幻聴じゃったかのう?」

首を傾げるお母さん。私はそれに頷いた。

「幻聴でしょ。お母さん、とうとう耳が老化……」

あ゛、これは禁句だった。
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