第9章 覚醒
と、鏖地蔵から顎をガシッと掴まれた。
「ほれ、ワシの目を見るんじゃ」
縦長の頭にある大きな目が紅く光る。
見たくなくて暴れても、カナちゃんに化けた妖怪に羽交い締めにされる。
そして再び顎を掴まれ、無理矢理顔を上げられた。
煌々と紅く光る大きな目がギョロリと私を見る。
そのとたん、意識がスウッと真っ白になっていった。
もしかして、敵の捕虜になってしまう!?
そして、何故か現れた鏖地蔵の姿に、その先の自分の姿を想像してしまった。
最悪、捕虜では無く羽衣狐のエサ。
嫌っ! 食べられたくないっ! 死にたくない!
どうにかして意識を保とうとしても、真っ白に塗り潰される速度は緩まない。
真っ白に塗り潰される最後の瞬間、何故か奴良リクオ君の顔が頭に浮かんだ。
助けて……! 奴良、く……