第3章 腹をくくりましょう
カナちゃんと駅で合流し、集合場所の浮世絵中まで一緒に送って貰う。
お父様、様、様だ。
集合場所は、学校のグラウンド裏の池の傍だ。
集合場所の近くのフェンス横で車から降りると、もう数人集まって来ているようだった。
「あ。結構集まって来てる」
「ほんとだわ」
周りを見渡すと4,5人は居た。
ふむ。妖怪に興味ある人、結構居るんだ。
現実には、妖怪なんて居るはずないのに。
そう思っていると、後ろから「カナちゃん!?」という驚きの言葉が聞こえて来た。
振り向くとそこには、パーカーを着た奴良リクオ君がいた。
奴良君も妖怪に興味あるんだ。
へえ、と意外に思っていると、奴良リクオ君はこちらに駆け寄りカナちゃんに話しかける。
「なんで居るの? 怖いの苦手なんじゃなかった?」
「う、うるさいな~、いいでしょ! 別に!」
あれ? カナちゃん、怖いの苦手だったんだ。
でも、誰かに会えるかも、って言ってたし、そんなに怖いの我慢してまでその人に会いたいんだ…
って、ことは、旧校舎に居る誰か、って事だよね。
ふむ。旧校舎に居る人…居る人……
…………思い浮かばない!
「リクオ君こそなんで居るのよー!」
「え……、ボ、ボクはその……」
2人の会話を聞きつつ、私はカナちゃんの謎の動機に首を傾げた。
と、会話の途中で私に気付いた奴良リクオ君は、会話を切りあげると私に話しかけて来た。
「有永さんも来たんだ。有永さんは、怖くないの?」
「えーっと、暗闇が少し怖いかな? でも、この現代に妖怪はいないでしょ?」
「あ、えっと、うんっ! もちろんだよ!」
奴良リクオ君は、何故か一瞬固まるが、それを払拭するように力強く頷く。
なんで一瞬固まったんだろ?
私は首を傾げた。
参加者は、私を含め7人だった。
旧校舎は、グラウンドの裏から高速道路を渡るとすぐそこだった。
ヒヤヒヤしながらも、高速道路を渡り、草の茂みを掻きわけて行くと、旧校舎の裏手に出る。
3階建ての旧校舎の外観はボロボロだった。
ほとんどの窓ガラスが無惨にも割られている。薄汚れた壁にも所どころヒビが入っていた。
暗闇の中で旧校舎を見上げるとなんだか不気味な雰囲気を醸し出していた。
この中に入るのかー……。なんだか、嫌だなぁ……
少し不安な気持ちに駆られながらも、私は皆の後から旧校舎へと足を踏み入れた。