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【ぬらりひょんの孫】転生は大変です

第9章 覚醒


1日は普通に過ぎて行った。
そう午後の数学を除けば。

「ううう……」

私は、机の上に頭を伏せ、口から見えない魂を出しながら屍と化していた。
数学の授業で、小テストがあったのだ。

うん。見事、玉砕だ。
平面図の問題だったのだが、さっぱり意味が判らなかった。

「線の名前なんて判らないー……。線対称なんて忘れたよー……」

と、カナちゃんから肩をチョンチョンとつつかれた。

「舞香ちゃん。平気?」
「ダメかも。答案真っ白。お母さんの頭に角が生える……」

滂沱の涙を流す私に、カナちゃんは「……あら」と困惑気味な表情をする。

カナちゃんは、頭良さそうだし赤点なんて取らないよね……

自分が更に情けなくなり、ズズーンと沈んでいると2人の友達が話しかけて来た。

「じゃあさ、帰りにドーナツ食べて、憂さ晴らさない?」
「そうそう! 期間限定のドリンクが今日までだし!」

期間限定ドリンク!
の、飲んでみたい!

ムクムクと未知のものを飲んでみたいという欲望が膨らむ。
しかし、「早く帰るのじゃぞ?」と言う心配げなお母さんの顔が脳裏に浮かんだ。

「うーん……。でも、早く帰らないと……」
「ちょっとだけなら平気だって!」
「そうそう! 素早く食べ終えれば、すぐ帰れるって!」
「すぐ……」
「「そうそう」」

コクコク頷く2人の友達に、そっか早く食べれば早く帰れるよね、と納得する。

「じゃあ、行こっかな!」

そう返事を返した途端、カナちゃんが何かを思い出したように「あっ」と声を上げた。

「舞香ちゃん。今日、清十字怪奇探偵団内の会議をするって、お昼休み清継君が言ってたわ」

な、なー!?

ガガーンッとショックを受ける私を尻目に、2人の友達は「そっか、それじゃあ仕方ないね」と引き下がった。

ううっ。期間限定ドリンク……
清継君…っ、恨むよー!
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