第8章 カナちゃんの誕生日
「おはよー、どうしたの? 何かもめ事?」
及び腰の奴良リクオ君にカナちゃんが詰め寄っているような姿をとっていた。
奴良リクオ君は、乾いた笑いを零しながら。カナちゃんはコホンッと咳払いをしながら私の方に向き直った。
「あはは。有永さん。おはよう」
「おはよう。舞香ちゃん。えっと、何でもないのよ。こっちの話し」
「?」
夜リクオ君の話しだったよね? 私も助けて貰ったって知ってるハズなのに、なんで隠すんだろ?
カナちゃんの気持ちが判らず、はて? と首を傾げていると、カナちゃんの呟きが聞こえて来た。
「あの方とリクオ君が友達なのは、舞香ちゃん知らなくて良い話しよね? うん。決して、隠したいワケじゃないんだから…」
何か盛大な誤解をしているけど、どうしてそんな誤解をするまでに至ったんだろ?
カナちゃんの思考回路も判らない……
私は学校に辿り着くまで、ずっと心の中で首を傾げていた。