第3章 腹をくくりましょう
お昼休み。カナちゃん達とお弁当を食べる。だが、いつもは皆で談笑しながら食べるのに、何故か今日のカナちゃんは無口だ。
何か考え込んでいる様子だ。
「カナ、どうしたの? 食べないの?」
「あ、まさかのダイエット?」
2人の友達が口を閉ざすカナちゃんに話しかける。
と、口を噤んでいたカナちゃんが突然口を開いた。
「わ、わたし、行こうと思うの!」
「「「へ?」」」
どこに?
何の事か判らない私達に、カナちゃんは両手を握りしめながら、言葉を続けた。
「旧校舎!」
「えー! 危ないよ!」
「そうよ、止めといた方がいいって!」
「ううん。行くわ! もしかしたら、会えるかもしれないし……っ」
止める2人の言葉は届かず、カナちゃんの目は決意に燃えていた。
そんなカナちゃんを2人は心配するが、言葉が届かない事を知ると、夜遅くにカナちゃん一人だけ出かけさせるわけにはいかない、という話になった。
しかし、2人共塾があり、付いて行くことが出来ない。
なので、私が付いて行くこととなった。
いや、私にも門限があるんだけど、こんな可愛いカナちゃんが夜遅くに外を出歩いていたら、確実に危ない。
私は、お母さんのお小言を覚悟しつつ、カナちゃんの護衛役を引きうけた。