第5章 俺も一緒に!!
ー圭太sideー
梨沙
『はい、圭太。』
今日も梨沙が俺に飲み物を渡してくれる。
俺は、それを素直に受け取り一口飲んだ。
今日はレモンティーか…
梨沙は朝練が終わるといつもこうやって飲み物を渡してくれる。
理由は分からねぇけど、折角くれるって言ってんだし、素直に貰ってる。
でも、梨沙が持ってくる物は結構甘めが多い。
別に甘いものがそこまで嫌いじゃない俺でも、イチゴ・オレやピーチティとかは度が過ぎると、たまに思う。
それでもいつも受け取るのは、それが嬉しく思う自分が居るからだ。
他に渡している奴も居ないみてぇだし、何か、〝俺だけ〟に渡してくれてるみたいで嬉しかった。
真樹斗
「なぁ、黒兄。」
いつの間にか隣に居た真樹斗に目を向けると、意味ありげな顔を浮かべながら俺の耳元に口を近づけて囁いた。
真樹斗
「オレ、梨沙の事、本気だから。黒兄も好きなんだろ? オレ手、抜く気ねぇから。いつまでもうじうじしてると、オレに取られちゃうよ?」
クスッと笑った真樹斗は俺から離れると、直ぐ様梨沙の隣に行き楽しそうに話し始めた。
ふざけんなよ。お前に梨沙を渡してたまるか。
…って言っても、自分のじゃねぇから何とも言えねぇ。
てか、梨沙は物じゃねぇし。
俺はイライラしながら、話す二人を横目に、小さく舌打ちをした。