第5章 俺も一緒に!!
亜由河先輩
「よし! 今日はここまで! 放課後はこの続きから始めるぞ!」
「うす! ありがとうございました!」
朝練が終わり、皆が着替えるため部室に入る中、私もいつも通りタオルを洗濯しに向かった。
梨沙
『そう言えば今日の圭太、ちょっとイライラしてた…?』
今日もいつも通り、拳を突き出しながら練習に励む圭太を見ていた私は、その異変に気づいた。
圭太は、集中していない時、微かに拳を突き出すのにブレがでる。
小さい時から圭太の事を見ていた私にとって、これは圭太も知らないであろう「癖」だった。
梨沙
(何にイラついてたんだろう…?)
そんな事を疑問にも思ったが、そっとしておこうと思い、再び作業に取り掛かろうとした。
その時…
圭太
「梨沙、これも洗濯しとけ。」
梨沙
『きゃあ! び、びっくりしたぁ…圭太か。…って、け、圭太…! ふ、服…!』
顔を出したのは圭太だった。
それは良いんだけど、何故か上半身裸の圭太に、私は驚きを隠せなかった。
圭太
「はぁ? 何言ってんだ? お前。」
そう不思議そうに聞いてくる圭太。
いや、服着てくださいよ! 目のやり場に困るからぁ…!
多分、今私の顔は真っ赤だろう。
それを隠すように下を向いた私は、何も無かったかのように返事をした。
梨沙
『な、何でもないよ! 分かった。これ洗濯しておけばいいんだよね?』
圭太
「あぁ。頼む。」
圭太から数枚タオルを受け取った私は、それを洗濯機の中に放り込み、洗剤を入れたて蓋を閉め、スタートボタンを押した。
梨沙
『これでよしっと。って、きゃあ!?///』
洗濯を回し終えた私は後ろを振り返り、まだ圭太が居る事に驚いて声を挙げてしまった。
圭太
「うるせぇな…何だよ、さっきから。」
耳を塞いで眉間に皺をよせた圭太は、軽く私を睨んで尋ねてきた。
梨沙
『いや、もう出てると思ったから…』
まだ心臓がドキドキ言ってる中、圭太は軽く溜息を突き、私の目を見据えて言ってきた。
圭太
「なに? 目のやり場に困るとか?」
そう言ってニヤッと笑う圭太。
図星を突かれた私はビクッと肩を揺らしてしまった。