第4章 お向かいさん。
ー圭太sideー
梨沙
『そりゃそうだよー。圭太に美味しいって言ってもらう為に作ってたのに〝嫌い〟って言われたから、私相当落ち込んじゃってさ。』
それを聞いた俺は、心臓の音が早まるのを感じていた。
圭太
(俺に〝美味しい〟って言ってもらう為に作ってたのか…?)
と言うことは、梨沙は〝俺の為だけ〟に、ずっと肉じゃがを作ってたのか?
確かに、梨沙の作る肉じゃがは絶品だ。
多分、母さんが作る肉じゃがよりも旨いと思う。
だけど、それは俺に〝美味しい〟って言ってもらう為だったんだ。
そう思うと嬉しさと同時に、顔が熱くなるのを感じた。
梨沙に悟られたくなかった俺は、視線を下に向けて赤い頬を髪で隠した。
梨沙
『出ー来た!』
梨沙が鍋の蓋を開けると、肉じゃがのほんのり甘い匂いと、食欲を誘うジャガイモの良い匂いがした。