第4章 お向かいさん。
昔から、肉じゃがだけは得意だった。良く作っては圭太に食べさせてたっけ。
圭太
「肉じゃが、か…」
梨沙
『小さい頃、良く作っては圭太に食べさせてたよね。』
圭太
「あぁ。お前、俺に無理矢理食わそうとするから、一回〝お前の作る肉じゃが嫌い〟って言った事あったよな。」
梨沙
『あったあった。私、凄いショックで、ちょっと間肉じゃが作れなかったもん。』
圭太
「そんなにショックだったのか?」
梨沙
『そりゃそうだよー。圭太に美味しいって言ってもらう為に作ってたのに〝嫌い〟って言われたから、私相当落ち込んじゃってさ。』
圭太
「………」
梨沙
『圭太?』
圭太
『あ、あぁ。何でもない。』
急に押し黙るから、何か変な事でも言っちゃったかと思った。
だけど…
夕日に照らされてるからなのか、圭太の頬が少しばかり赤い気がするのは…気のせいだろうか?