第2章 昔ばなし
獅郎「オイ、エレナ。今俺をオッサン扱いしたな?……俺はなぁこう見えてもアッチのほうは10代と変わんねーぐらいビンビン!絶賛絶倫ちゅ___」
「"龍王の名のもと塵界粉塵と為す"出でよ『マニバドr ____』」
獅郎「ダメダメダメダメーー!!龍王(マニバドラ)召喚しちゃだめぇ!!修道院どころか町まで吹っ飛ぶだろーが!!」
目に余る獅郎のセクハラに対抗すべく自らの使い魔である龍王『マニバドラ』を召喚しようと、ショート丈の団服の胸ポケットに入っていた魔法円の書かれた紙を取り出したが、その紙は獅郎により没収されてしまった。
エレナとて、本気で龍王を召喚しようと思ったわけではないが、あまりにも獅郎のセクハラ攻撃が耐えがたいものだったため、つい出来心が生まれただけなのだ。
「……バカ獅郎。二人の時ならまだしも、雪男たちいるんだから、ちょっとは自重するっ!……じゃないと、接近禁止令出しちゃうよ?」
不満たっぷりな顔で獅郎を見上げると、獅郎は真顔でわなわなと震えていた。彼の様子が心配になり、大丈夫?と確認しようとした時、エレナの心配とはかけ離れたところから獅郎は言葉を発した。
獅郎「……… エレナ、お前……………可愛すぎだっっ!!ちくしょーっっっ!!でも、接近禁止令は嫌だぁぁぁぁぁ!」
おいおいと泣き真似をしながら結局抱きついてくる獅郎に、もう為す術をなくしたエレナは、彼を放っておくことにし、雪男たちに話しかけた。
「燐、私もうすぐご飯作り終わるし、宿題手伝うよっ!そのほうが、雪男は雪男の宿題に取り組めるでしょ?」
燐の表情がぱぁっと明るくなるとピョンピョンと跳ねながら、満面の笑みを見せる。
燐「まじっ!?エレナが教えてくれんならやる気出たぜ!」
一方の雪男は眉尻をさげ、困ったような笑顔を作り、全く兄さんは…、とため息混じりに呟いていた。
続いて雪男はエレナの方へと振り返ると、その目に映った光景にぎょっとし、目を見開いてしまった。
雪男(なっ///!?と、神父さんは、何をしてるんだーーっ///!?)
その"神父さん"と呼ばれた男は、これでもかと言うくらい、がっちりとエレナを抱き締め、好きだ好きだ、と騒いでいた。
そんな獅郎も今年で45歳になるそうだ。