第2章 昔ばなし
痛みに悶える燐は頭を抱えしゃがむと、その目の前で腕を組み仁王立ちする獅郎を、涙を浮かべた目で睨み付けていた。
獅郎は全く相手にしてない様子で耳をほじくりながら、めんどくさそうな態度を示す。
燐「……くっそぉーー!!バカジジィめっ………!」
獅郎「あ?バカはお前だ。お、ま、え!ヒャーッハッハッ」
腹を抱え爆笑する義父、獅郎。
それを真っ赤な顔をして今にも怒りを爆発させてしまいそうな息子、燐。
そんな二人のやり取りをキッチンの中からくすくすと笑いながら見つめるエレナと雪男。
エレナ「くすくす……本当……どっちもどっちだわ。そうだ……おかえり、…雪男。」
にっこりと微笑みかけると雪男の頬がほんのりと赤く染まった。
少し俯きながら雪男はちらりとエレナを見上げ、口を開く。
雪男「た………ただいま…… エレナさん///」
「あっそうだ……雪男、今日の夕飯何がいい?」
エレナが笑顔で訪ねると雪男は少し考えるポーズをとり答えようとした___その時、横から飛びいるように燐が乱入してきた。
雪男「じゃ、じゃあ、オム_____」
燐「肉っ!ぜってぇ肉!!」
燐の大きな声によってかき消された雪男の希望。
肩を落とす雪男の姿など目に入らないのか、燐は相変わらずのテンションで肉、肉、と騒いでいた。
エレナははしゃぐ燐の姿に、手を口許に添えくすくすと笑っていた。
そこに伸びてきた腕は、彼女の腰の辺りに巻き付くと手の持ち主の方へと引き寄せていく。
獅郎「ぶぁか!エレナはおめーじゃなくて、雪男に聞いてんだよっ!……ま、お前の希望なんざ聞かなくても知ってるっつの~」
「もう、獅郎もいい加減にするっ!……燐、ちゃんと燐のためにお肉も用意してあるから安心して?……だから、雪男にも食べたいもの聞いておかないとね?」
燐と雪男に向け片目を瞑り合図を送り、同時に彼らに見えないところで自分の尻を這う手をつねりあげた。
その間、一切表情は変えず、エレナは笑顔を張り付けて。
獅郎「__っ、い"ったっ!!ぐっ……… エレナテメー襲「獅郎……?(黒笑)」……スンマセン」