第2章 昔ばなし
「あの時は、祓魔師になって初任務だったから、凄い緊張してたんだけど……柔造たちが居てくれたから本当に心強かったんだよ?」
昔を思い出しているのか少し遠くを見るように話をしていた エレナの視線が柔造に戻ると、柔造は目を細め柔らかな笑みを返した。
柔造「……少しでも力になれたんなら良かった。まぁ、俺らはお前の圧倒的な強さに度肝抜かされてもうたけどね。………でも、あん時エレナがこっちに来てくれはったから、今こうして一緒に居れるんや。」
柔造は自分の言葉に嬉しそうに微笑む エレナをそっと抱き寄せると、その耳元に唇を寄せた。
体に触れる柔造の熱と耳にかかる熱い息に エレナの体がピクリと反応する。
柔造「………あん時は俺もガキやったけど………今は違うんやで?…… エレナ 」
いつもより甘く、低い声に、 エレナは体の奥がジンと熱くなるのを感じ、頬が赤に染まってしまう。
今まで何度も獅朗に同様のことをされてきたが、これほどまでに心臓が煩く騒ぎ立てることはなかったが、柔造が自分に触れている、というだけで、こんなにも気持ちが昂るものか、と エレナは内心驚いていた。
「………柔、造……///私も……もう…子どもじゃないよ……?」
頬を赤らめ覗きこんできた瞳が熱を帯び、揺れていて。
柔造はごくりと唾を飲み込むと、そっと彼女の頬に手を添えた。
柔造「………せや。もう……俺らは…大人なんや………」
ゆっくりと近づく顔。
徐々に閉じられていくお互いの瞳。
「…………ん///」
唇に触れた柔らかな熱は、ゆっくりと離れていき、 エレナは瞼を開け熱を与えた存在を確認する。
いつも自分に向けられている優しい眼差しは熱を孕み、"男"を感じさせるものへと変わっていて。
柔造「…………エレナ___
♪~♪~♪~
……………。」
またしても二人の甘い空気に邪魔が入ったことに、苛立ちを覚えた柔造は、今日何度目かの舌打ちを心の中ですると、今もなお音をたてムードを壊してくる携帯を手に取り、眉間にシワを寄せた。
柔造(誰や………全く………。なんで、今かかってくんのや。)