第2章 昔ばなし
【 柔造side 】
エレナとの出会いはほんま衝撃的やった。
___あれは8年前のある日、
京都の山奥にある古い祠で奉られていたらしき三ツ又の白蛇が、山に立ち入ろうとする人々を襲う、という被害が多く寄せられ、被害の状況を確認すべく山へ向かった京都支部の先見隊も、大ケガを患い帰還した。
事の重大さに、支部長である俺の父こと志摩八百造は、日本支部へと援護要請を出し、その要請によってやって来たのが、他でもない祓魔師になったばかりのエレナで。
「……初めまして。日本支部から参りました上二級祓魔師のエレナ・桧山・アレヴィです。どうぞ、エレナと読んでくださいね?………さっそくですが___」
その美しさたるや、今まで俺が見てきたものの何よりも美しく、彼女の周りだけが鮮やかに輝いているように見える。
花が綻ぶように笑う姿は、見る者の視線を釘付けにし、
胸を高鳴らせた。
八百造「ほんま、わざわざ日本支部から来てもらってもうてすんません。よろしゅう頼みます。エレナさん。………あ、あと、こやつら、ウチの息子なんやけど、エレナさんと年の端も変わらんぐらいやし、仲良くしたって下さいね。」
見惚れたまま動けずにいた俺の背中をずい、と押され、前へと出されると、すぐ近くにいるエレナがふわりと微笑みを向けてきて。
その瞬間____
バックン
と大きな音を立て脈を打つ心臓。
柔造「…………柔造です。よろしゅう頼みます///」
「よろしくね?…………柔造。」
____この時、俺は悟ったんや。
この出会いが俺にとって特別なものであることを。
そして、この時から
俺の心はお前だけに向かってるんやで?
エレナ…………
俺はお前を愛しとる。
この想いは一生変わらへん。
だから、俺に
お前の一生をください。
俺の全身全霊をかけて
何よりも大切にしたいんよ。