第2章 昔ばなし
長時間にわたる認定試験1日目も終わり、職員らと挨拶を済ませたエレナは足早に柔造との待ち合わせ場所である正十字学園の正門前へと向かっていた。
少し息を切らした彼女が正門前にたどり着くと、そこには一人の男の姿。
「___柔造っ!お待たせっ」
柔造「……全然待ってへんよ。俺もついさっき来たばかりやし。」
柔造は自分との約束のために急いで来たであろうエレナの頭を撫でながら、目を細めて愛しげに微笑む。
「柔造はいつも優しいね。……待っててくれてありがとう。」
同じように微笑みを返すエレナの手を柔造がそっと握ると、エレナが遠慮がちに握り返してきた。
そんな些細なことすら嬉しくて堪らない柔造は、緩んでしまう口許を隠すべく、反対の掌で押さえる。
柔造(~~~~あかんわぁ///もう、ほんま今すぐにでも押し倒したいくらいかいらしい///)
柔造「………ほんま、かまへんよ。エレナ待っとんのは、ちっとも苦じゃあらへんし………ほな、行こか。俺、もう腹ペコや~」
「クスクス……私もお腹すいちゃった!お店はあっちだよ。早く行こう?」
久々の再会に心踊る二人の会話は弾み、一方で自然と絡まっていく指は気がついたら"恋人繋ぎ"になっていて。
二人の心の距離が縮まるにつれ、体の距離までつまっていく。
(柔造の手………何か落ち着くな………)
柔造(エレナの手ぇ握ってると……なんや落ち着くわ………)
知らず知らずに同じことを考えていた二人。
2年のブランクを埋めるように急速に深まっていく想い。