第2章 昔ばなし
シュラとの二人飲みは深夜まで続いた。
久々の再会でもあったエレナたちは酒と同時に会話も進み時間が過ぎるのを忘れてしまうほどだった。
(うー………寝不足かも………)
鍵を使い日本支部へやって来たエレナは、寝不足の頭をシャキッとさせるべくコーヒーを求め自販機を探していた。
間もなく見つけた自販機の前で小銭を入れ、ブラックコーヒーのボタンを押そうと指を伸ばそうとしたその時。
ピッ
「____なっ!?」
するりと横から伸びてきた手が触れた先は彼女が求めたものとはかけ離れたもので
?「はい☆どーぞ♪愛しのエレナさん♡」
奇抜な格好をした長身の男の手には
"激甘濃厚イチゴミルク(果汁0%)"
が握られていた。
「こんにちは………メフィスト…。」
物憂げにその顔を見つめると嬉しそうにニコニコと微笑むメフィスト・フェレス卿の姿。
エレナはため息をつくとそっと、自分へ差し出されたその手を主のほうへと押し返す。
メフィ「おや?お飲みにならないのですか?甘く美しい貴女にピッタリだと思ったんですが☆」
バチンッとウィンクを飛ばすメフィストにエレナも笑顔を返す。
「ふふ………生憎だけど、深酒後には遠慮させていただくわ?気持ちだけ、ご馳走さまでした。」
メフィ「……はぁ、断る様すら美しい……正に生きる芸術ですね!」
なぜか目を輝かせ迫ってくるメフィストに戸惑っていると、横から伸びてきた手に体が引き寄せられた。
獅朗「こら!馬鹿メフィストっ!こいつは俺のだって言ってんだろーが!!」
抱き寄せられた先、頭上から聞こえる声と匂いに顔を見なくとも何者かわかってしまう。
ぎゅうと抱き締めるその腕は、エレナの体を離すまいと力が籠められていた。
メフィ「んなっ!?藤本さんってば!!それは歴とした上司によるセクハラですよ!ハレンチなっ!」
獅朗「うっせーよ。自分のモンに触って何が悪い。」
メフィストの言葉にしれっと返す獅朗。
「……獅朗?いつから私は貴方のモノになったの?」
獅朗「あ?んなの、"最初っから"だろーが。」