第2章 昔ばなし
翌日も本部で書類作成やミーティングなどをしていたエレナだったが、役職上同じ時間を過ごすことの多いエンジェルとの絡みに困り果てていた。
今は、そのエンジェルから逃げ、本部内にある自室にて報告書をまとめているところだった。
コンコン
部屋の扉が叩かれた音にびくりと跳ねるエレナの体。
ドキドキしながらドアの向こうの人へと声をかけると帰ってきたのは予想外の人で
?「よーっす!!お疲れにゃ~~♪」
ズカズカと部屋に入ってきたその人は、そのままソファへとドカッと勢いよく座った。
「ふふっ、お疲れ様。シュラ。今戻ってきたの?」
あられもない姿でくつろぐ"シュラ"こと、霧隠シュラは同じ師のもとで研磨しあった仲間であり、エレナの親友である。
シュラ「おー。最近こき使わされすぎなんだにゃ~。私じゃなくてあの馬鹿エンジェルが行けっつの!」
"エンジェル"という言葉にピクリと反応するエレナ。
そのことに気づいたシュラは、眉間に皺を寄せあからさまに苛ついた表情へと変わる。
シュラ「あ?まさかあの野郎…またエレナの尻追っかけ回してんのかっ?!」
「ははは……いつの間にか、フィアンセになってましたよ。私。」
シュラ「はぁぁあ!?チッ………あのハゲ!どんだけ頭沸いてんだよっ!?あー!ムカつく!ちょっと1発殴ってこないと気がすまねぇ!!」
今にも飛び出していきそうなシュラを止めながらエレナが微笑む。
「ありがと、シュラ。その気持ちだけで嬉しい。それに明日から日本で任務だし離れられるから大丈夫よ?」
エレナの言葉にシュラは大きなため息を漏らすと、再びソファの上へと戻っていく。
シュラ「……ったく。優しすぎんだよエレナは。だからあのハゲに変な妄想されちまうんだ。…全く。」
なおもイライラした様子のシュラに、エレナはクスリと笑い、部屋の奥に置いてあった任務先で貰った紙袋を手
に取り、シュラの元へと近づいた。
「はい、これ。リュウから貰った紹興酒♪後で一緒にどう?」
たちまち笑顔になるシュラ。
シュラ「にゃは~!リュウのやつわかってるにゃあ♪」